第16回 キャリア・コロッキアム 開催報告
100年人生に向かう「多様なキャリア」と「キャリア支援のあるべき姿」について勉強し研鑽する場として、当NPO法人が開催する「キャリア・コロッキアム」。
第16回は、2022年6月24日(金)18:00~20:00、Zoomによる遠隔セミナーを開催いたしました。
NPO会員4名、非会員3名の計7名が参集しました。
第一部は、「キャリアが見通せない人生100年時代を生き抜くために ~「持続可能なキャリア」について考えよう~」という演題で株式会社ウイル代表取締役の奧山睦様の講演が行われました。
約40年間のワークキャリアに関して、定年後の20~30年をどうするかということを考える際に、キャリアのコアタイムとなる35歳~45歳の10年間が15年以上に延長されているのではという意見があります。
キャリア発達は安定と不安定を繰り返しながら発達するため、キャリア不安、将来の見通しがつかないという状況は、「キャリアの危機=再設計の好機」というように前向きに考えることもできます。
奥山様のキャリアとして、31歳で起業、46歳で書籍初出版、それが契機となり大学教育に携わるが、55歳の時に脳梗塞を発症し、その後闘病しながらも先日博士号を取ったというキャリアが紹介されました。
そのうえで、キャリアに関して伝えたいことの一つとして、「病気は不便だけれど不幸ではない」というお話をされていました。
病気をしなければ、博士号を取ることはなかったためです。
講演の中では、簡単にですが奥山様が博士号を取得した博士論文の概要も紹介されました。
論文のタイトルは「工場密集地域の再活性化プロジェクトとその波及効果―工場主の連携・幸福度の向上及びイノベーションの促進―」というもので、研究の背景として「地域活性化への指向は社会に不可欠」「地域活性化のための地域イノベーション」「地域イノベーション誘因モデルをシステム化」といったものがあり、結論として産業振興の施策として重要な工場密集地域における再活性化とその波及効果として、工場主たちの連携と幸福度が向上する傾向が明らかになったとのことでした。
その後、持続可能なキャリアを考える上での論点として「なぜ持続可能なキャリアを考える必要があるのか?」「そもそも持続可能なキャリアとは何か?」「現状から持続可能なキャリアに変革する(させる)には?」という点が挙げられました。その上で、「なぜ持続可能なキャリアを考える必要があるのか?」という点に関してはコロナの影響、「そもそも持続可能なキャリアとは何か?」という点に関しては持続可能なキャリアの4次元(時間、文脈、エージェンシー、意味)、「現状から持続可能なキャリアに変革する(させる)には?」という点に関しては「サピエンス全史」という書籍を引き合いに「過去を振り返ること」の重要性が話され、最後に総括として、持続可能なキャリアとはという点に関して、「木を見て森も見る視点」(部分最適と全体最適を構築する力)が重要になるのではないかという話がなされました。
講演後の第二部では、諏訪理事長から、奥山講師のライフキャリアに関して「職業生活関連」「家庭生活関連」「個人の観点」に加えて、大学院入学が持つ意味についてどのような意味があるのかという問題提起がなされました。
その上で、持続可能なキャリアにはどのような特性があるのか」について「何が問題か?」「なぜ問題か?」「では、どうしたらよいか?」といった観点で2グループに分かれて意見交換をしました。
諏訪理事長の話を受けた後、2グループに分かれグループワークに移りました。すべてのグループから、代表者が意見を集約して、発表が行われました。
参加された皆さんからは「高齢な中でこういう勉強会に参加しているモチベーションは何かという話をしたが、勉強し続けないと、チャンスが訪れた時にものにできないから」という意見が出て、この「勉強し続けていないとチャンスが来た時にものにできない」という考えには多くの方が賛同されていました。他、様々な意見が出されました。
この勉強会は年間4回の開催を予定し、毎回、多様なキャリアにかかわっているゲスト講師をお招きし、基調講演をしていただいたうえで、参加者の皆様と一緒にグループワークを行っていきます。
次回もZoomによる遠隔セミナーで、2022年9月に開催の予定です。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げています。