第11回 キャリア・コロッキアム 開催報告

第11回 キャリア・コロッキアム「絵双六にみる職業観の変遷」開催しました

100年人生に向けて「多様なキャリア」と「キャリア支援のあるべき姿」について勉強し研鑽する場として、当NPO法人が主宰し開催する「キャリア・コロッキアム」。

第11回は、2021年3月24日(水)18:00~20:00、Zoomによる遠隔セミナーを開催いたしました。NPO会員8名、非会員12名、関係者6名の計26名が参集しました。

第一部は、「絵双六にみる職業観の変遷」をテーマに吉田 修先生(公益社団法人全国求人情報協会常務理事、築地双六館館長)の講演が行われました。吉田先生は大学卒業後、人材ビジネスの世界で長らくお仕事をされてきたかたわら、「双六」に並々ならないご興味を持たれ、余暇を活用して長年、双六研究に精力を注がれてきました。

それだけではなく、当NPO法人の立ち上げ時から数年にわたり広報部長も務めてくださり、「本務」+「築地双六館館長」+「NPO」の3枚の名刺を持つパラレル・キャリアの実践家です。そんな吉田先生に、双六の起源から各時代背景を映し出す職業観の変遷、今日のキャリアの問題まで、多彩かつ豊富な話題をご提供いただきました。

絵双六の起源は、13 世紀後半頃天台宗の新米の僧に仏法の名目を遊びながら学ばせるために考案された仏法双六だといわれています。つまり、仕事にかかわる知識を学ぶためのツールでした。
双六が職業観醸成に果たした役割を考えるとき、例えば明治時代の雑誌「日本少年」は、 大正 8 年の正月号で 35 万部を売り尽くしたといわれ、新年特別付録には、必ず双六が採用されました。
振出しは、誕生や小学校卒業であり、上がりは内閣総理大臣、陸軍大将山縣候、馬車出勤、貴婦人、嫁入りでした。双六には、その時代状況を反映した夢や憧れ、希望などが見事に表現されており、庶民の息吹が伝わってきます。

吉田先生は各時代における双六と職業観の変遷を紹介されたのち、人生100年時代は、継続的な学びと働き方で、例えばリカレント教育やキャリア権等を尊重し、自らのキャリアを切り拓いていくことが重要であると語られました。

第二部は諏訪理事長から「新しい日常における『近未来の職業観』はどんなものに?」
という問題提起があり、グループワークが行われました。

まずは職業上の人間観の変遷は、「労働力」の通称に反映されているという説明がありました。人足→人手→人材・人財→人才(タレント)と、その呼び方は足から手、頭へと近づき、そして能力を表すような通称へと変わっていきました。

次に総務省「国勢調査」(2015)及びJILPT「データブック国際労働比較2019」のデータを基に、「職業(大分類)別15歳以上就業者の割合の推移―全国(平成12年~27年)」を引用して説明がなされました。平成12年(2008年)には「専門的・技術的職業従事者」は日本では13.2%、2015年には同15.9%ですが、2018年のスウェーデンは47.2%、ドイツは40.5%という高い割合でした。また、「管理的職業従事者」の日本の割合も国際基準では2.4%と低く(2015年)、スウェーデン6.2%(2018年)、ドイツ4.7%(同)に比して低いです。日本は、仕事の「専門職化」への流れにおいて、いまだ発展途上といえそうです。

これらの諏訪理事長の話を受けた後、3グループに分かれグループワークに移りました。各グループからリーダーが意見を集約して、発表が行われました。

参加された皆さんからは「双六というものを今まであまり意識せずに見ていたが、今後の職業観を考えるうえで、大変参考になった」、「働き方が足から手、素材からさらに頭へ、タレントへと近づいていくという考え方が、大変興味深かった」等、様々な意見が出されました。

この勉強会は年間4回の開催を予定し、毎回、多様なキャリアにかかわっているゲスト講師をお招きし、基調講演をしていただいたうえで、参加者の皆様と一緒にグループワークを行っていきます。
次年度もZoomによる遠隔セミナーで、2021年6月に開催の予定です。多くの皆様のご参加をお待ち申し上げています。

なお、3年間にわたり設立準備会(第0回)から本格開催11回目までの合計12回の「キャリア・コロッキアム」(NPO分科会活動)の事務局を担当した奥山睦氏は、今回をもって退き、次回からは藤巻勇輝氏に交代します。
新旧事務局交代の挨拶が今回会合の最後に行われました。
奥山氏には3年間にわたる献身的なご貢献をいただきましたことに感謝いたします。

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