《リレーエッセイ6》 当NPO会員 中山 由起子 様
《リレーエッセイ6》「未来のキャリアは今の私が創る」
中山 由起子(当NPO会員)
現在フリーランスのキャリアコンサルタントとして活動をしている私は、かつて就職や転職などの職業紹介を中心とした就職支援を行う組織に所属していた。
キャリアコンサルタントという職業に就いて3年目、私は小さな就職支援の現場を担うことになった。
スタッフは私を含め2人。準備から関わり軌道に乗るまで、私は全力(というよりも必死)で仕事をした。
その後、相談希望者も就職決定者も少しずつ増え、業務は安定していったのだ
。 私はこの就職支援を通して人の変化や成長を実感し、キャリアコンサルタントという職業にやり甲斐を感じる一方で、なぜだか得体のしれない不安感や満たされない感情が湧いてきた。
しかしながら、他者に弱みを見せたくなかった当時の私は、ネガティブな感情を封印したため、私の本心に気づく人など周囲には殆どいなかった。
その頃から私は自己対峙をするようになった。
「なぜ私の心はいつも満たされず、不安を感じるのだろうか。」
「どうして私は他者に本音が言えないのか。」
長い時間をかけて自己対峙を繰り返すと、次第に自分の本心が見えてくる。
それまでは、自分の心の声をキャッチしても、弱気な嘆きは無視するという一方で、自分以外の何かや誰かに合わせた生き方をしていた。
そのため仕事が上手くいっても、相談者から感謝の言葉を頂いても私の心は満たされない。
なぜならそれは、私が私を認めず、自分を大切に扱っていないから。私の心は、他の誰でもない私自身に承認してほしいという欲求を訴えていたことに、後になってようやく気づいたのだった。
キャリア支援の現場では、以前の私のような相談者が実に多い。
そこで私は、内的側面を重視したキャリア支援の必要性を感じた。単に就職や転職の支援だけではなく、本来の自分を知り、自ら承認するキャリア支援。人は否定的に捉えている自分も本来は素晴らしい自分なのだと認めた時、真に自分らしいキャリアを創りだすプロセスを始める。
「そんなキャリア支援がしたい」それが現在の働き方を選択したきっかけのひとつでもある。
自分を肯定できず、全力で頑張っても自らを承認することができなかったあの頃の私。他方、今の私のキャリアや働き方へ影響を与えているのも確実にあの頃なのだ。
過去のキャリアは今に繋がっている。そして未来のキャリアを創っているのもまさに「今」の自分。
いつかは終わる私の人生。その時、地上に残る私の轍(キャリア)が、夜空の星と同じくらいに輝いていることを目指し、今日も私は未来へ向かって自分らしく「今」を生きる。
【著者プロフィール】 NPO法人キャリア権推進ネットワーク会員
ライフ・キャリア・クリエイト(LCC)代表(コンサルティング・研修・イベント事業)
2級キャリアコンサルティング技能士/産業カウンセラー/終活カウンセラー/イベント・プランナー